夢だろうか。
一瞬そう思った。
サンタがくれた、イヴの夜、一時だけの幻なんじゃないかって。
だって、白い息の向こうにある恭一の顔が、いまにも消えてしまいそうに見えたから。
恭一は、いつものヘラヘラ笑いとは違う、少し悲しげな微笑みを浮かべていた。
待ちわびた人が、すぐ目の前に立っている。
それなのに、言葉が出てこない。
何て声をかければいいのか。
元気だった?
待ちくたびれたよ?
何でサヨナラなんて言ったの?
何でここに来たの?
どれも声にはならなかった。
困り果てていると、恭一の方から口を開いた。
「…約束、したもんね」
「え…?」
「美緒ちゃんに呼ばれたら、いつだって、どこにだって飛んでいくって」
それは出会ってまだ間もない頃、恭一が言ったセリフだった。
サヨナラなんて言ったくせに。
まだあの約束は有効だったのか。
「メール、嬉しかったよ。俺も今日、美緒ちゃんに会いたかったから」


