冷え切った窓を開け、外へと首を伸ばす。
白い息を吐きながら、門の方に顔を向けた時、家の壁で死角になったところから、ひょこりと金髪の頭が出てきた。
赤いダウンベストを着た男が、あたしに向かって軽く手を振る。
涙が出そうになった。
「待ってて! そこから絶対、動かないで…っ!」
携帯電話を握りしめながら、部屋を飛び出しかけ、机の上にあった紙袋が目に入った。
それをつかんで、コートを持たずに階段を駆け下りる。
「美緒?」
ひどい足音にお母さんがリビングから出てきた。
「ちょっと、外に出るの?」
「コンビニ行くだけ!」
すぐはけるスニーカーを出して、足に引っ掛ける。
「コートも着ないで? 車出すわよ?」
「いいの! すぐ戻るからっ!」
かかとを潰したまま、あたしは外に飛び出した。
寒さなんて気にならなかった。
ただ夢中で門を出て、金髪頭を探す。
家から十数メートル離れたところにある、街灯の下にアイツはいた。
早くそばに行きたくて、
早く近くで顔が見たくて、
あたしは走り出していた。


