手袋をした三上くんの右手が、あたしの頭を撫でる。
「冗談だよ」
「…………えっ?」
上を向くと、いたずらっぽく微笑む優等生の顔。
もしかしてあたし、からかわれた?
「今日は遅くなるとは、言ってきてないんでしょ?」
「まあ…早く帰るとも言ってないけど」
「じゃあやっぱり、また次の機会だね。親御さんも心配するだろうし」
そう言った三上くんの目が、ちらりとあたしの背後、家の方に向けられる。
反射的に振り返り、彼の目線の先を見た。
リビングの大窓に引かれたカーテンが、少し動いた気がした。
「…誰か見てた?」
「さあ。気のせいじゃないかな」
「そう……」
三上くんに向き直り、あたしは首もとで揺れる二つのリングに指をかけた。
やっぱり綺麗だ。
彼はセンスが良い。
「これ、ありがとう。大切にするね」
「俺もありがとう。こっちは帰ってゆっくり開けるよ」
広場で渡した紙袋をかかげ、三上くんは一歩後退した。


