あたしは手袋を外して三上くんに返した。
青い犬のワンポイントを見て、何気なく呟く。
「またグランパとクインに会いたいな」
三上くんは眼鏡の奥で、瞳を何度か瞬かせた。
「来る?」
「え?」
「これから家に」
これからって…この時間から?
意外すぎる誘いに、ただ驚いて答えられないでいると、彼は意味あり気に笑った。
「今夜は俺とグランパたち以外、誰もいないけどね」
それって…
二人きりってこと?
そういう意味?
あたしは一人で顔を熱くさせ、うつむいた。
そりゃ今日はイヴで、恋人たちの特別な日だし。
そういう展開の方がむしろ一般的なわけだけれど。
優等生って言ったって、彼だって普通の男の子なんだし。
そういうコトもしたりするわけで。
だからあたしと三上くんがそういうコトになるのも、当たり前と言えばそうなわけで。
ちょっと早い気もするけれど…
足元を見ながらぐるぐると考えていると、不意に柔らかな感触が頭の上に優しく乗った。


