まったくウチの優等生は、控えめなんだか大胆なんだか、本当にわからない。
「……ありがとう」
お礼の言葉を今度こそ最後まで言うと、三上くんは眼鏡の奥で、微笑んだ。
今日の自分の判断が、正しかったんだと思わせてくれるような笑顔だった。
「はい、片方ずつ」
三上くんは左の手袋を外し、あたしの手にはめた。
そして、
彼の左手と、
あたしの右手が、
互いに温もりを求めるように重なった。
「…三上くんて、どうしていままで手袋してなかったの?」
寒くないからかなと思っていたけれど、良い機会だから訊いてみる。
三上くんは噴水を見つめながら、口を開いた。
「…きっと、酒井さんと同じ理由だよ」
その答えにはびっくりしたけれど、すぐにあたしは笑った。
美野里亭の人が言っていた通り、あたしたちは少し、似ているのかもしれない。
あたしが三上くんに感じる安心感の正体。
ようやくそれが、わかった気がした。


