あたしの頭の中に、電源を切った携帯電話の存在が戻ってくる。
でもダメだと、自分にブレーキをかけた。
三上くんと一緒にいる時間は、アイツのことを考えちゃいけないんだ。
あたしはそっと、手が震えてしまわないよう気をつけて、チケットごと彼の手を押し返した。
「…ありがとう」
チケットに触れたくなりながら、手を離す。
「でもやっぱり、行かないって決めたから」
「そう」
「…ごめんね」
「いいんだよ。キミが決めることだから」
気にしないでと言いながら、三上くんはチケットを胸元に戻す。
本当に不思議な人だ。
無理には押し付けず、ただ色々な道をあたしの為に用意してくれるなんて。
でもそこに、三上くんの本意はあるんだろうか。
そんなことをあたしが考えていると、彼は再び手を差し出してきた。
そこには、まるでマジックのように、白い長方形のケースが。
「こっちが本当のプレゼント」
ケースが彼の手によって開かれ…。
そこには柔らかく光るネックレスが、静かに横たわっていた。


