彼は静かに本を閉じて、頷いてくれた。
「そうだね」
「うん…。そうだよ」
あたしの肯定は、自分に言い聞かせるためのものだったけど、それはやっぱり嘘じゃない。
あたしは間違ってなんかない。
「お待たせいたしました」
先ほどの私服のスタッフの人が、サラダにスープを運んできた。
常に穏やかな笑みを浮かべる男の人は、あたしたちが見ていた本を三上くんから受け取り「私もこの絵が好きなんです」と言った。
「あなたが人にこれを見せるなんて、珍しいですね」
「彼女が偶然見つけたんですよ」
「そうでしたか」
男の人はあたしと三上くんの顔を交互に見て、なぜか一人で頷いた。
その後口元を手で隠しながら小さく笑う。
嫌な笑い方じゃないけど、気になった。
「あの…?」
「ああ、申しわけありません」
コホンと咳払いをして笑みを止める。
「こういう言い方は失礼かもしれませんが…」


