少し、三上くんは悲しげに眉を寄せた。
あたしは反射的に首を横に振っていた。
彼には聞こえてしまったんだ。
『あたしでいいの?』
手を繋がないこととか、与えてもらうばかりでいることとか、そんな勝手な悩みや迷いを集約したような心の声が。
慌てて「そんなことない」と言おうとした時、静かなリビングに小さなメロディーが流れた。
それがあたしの携帯電話の音だと気づいて、まだ頭を添えられていた三上くんの手をすり抜け、すぐに鞄に手を伸ばした。
落ち着いていたはずの鼓動が、一気に加速していた。
最近は携帯電話が鳴るたびにこれだった。
恭一かもしれない。
電話の着信音でもメールの受信音でも、一番はじめに浮かぶのは『恭一』の二文字で。
けれどディスプレイを見て、いつもその二文字とは別の文字が表示されていて肩を落としていた。
ユリからのメールだった。
携帯を閉じ、ハッとして顔を上げた時には、三上くんはもうこちらを見ておらず、紅茶を飲んでいた。
彼の膝にいるクインが、なんだかあたしを笑うように一声鳴いた。


