少し冷たい、彼の唇がゆっくりと離れる。
なぜだろう。
短いキスの最中も、胸は高まるよりも落ち着いていった。
毛布にくるまれるような心地よさ、安心感。
付き合って1ヶ月と少し…。
甘い空気が欲しいわけじゃないけれど、三上くんはどう感じているのかな。
「…何か、訊きたいコトがあるんじゃないの?」
顔を10㎝ほど離したところで止まった彼は、あたしの目を真っ直ぐに見つめて言った。
奥二重の切れ長な瞳に、あたしの顔が映っている。
至近距離で見る、彼の少し神経質そうな顔立ちを、誰かに似ていると感じた。
「家族のことより…、何か気になってるコトがあるんでしょ」
「なんで…」
三上くんには伝わっちゃうんだろう。
あたしはヒカルみたいに、気持ちがはっきり表情に出るタイプじゃない。
どちらかといえば変化に乏しい方で、だからこそキツそうだとか冷めていると誤解も受けやすかった。
なのに三上くんは、わかりにくいはずのあたしの心を、的確に読み取ってくれる。
「俺は何か、キミを不安にさせてる?」


