彼にはブレというものがない。
考え方も行動も、すべてに芯が通っているような、意志が強く迷いがないような、そんな印象がある。
もちろんこれはあたしが勝手にそう感じているだけで、彼にしかわからない葛藤だとか悩みだとかはあるのかもしれないけれど…
「どうぞ。誰もいないから気兼ねしないで」
大きく扉を開いてあたしを招き入れてくれる彼は、落ち着きと温かさに満ちて頼もしい人だ。
一緒にいて安心する。
けれど彼だってあたしと同じ高校生なわけだから…
それを少しでも見せてもらえたら、もうちょっとあたしたちも近づけるような気がした。
玄関に入る前にこっそり、赤くなった両手に息を吐きかけた。
あたしたちはまだ手をつないだことがない。
キスはしたのに、彼はカイロをくれるだけ。
だからまだあたしは手袋をつけられずにいる。
つなぐ気になってくれた時、手袋してちゃもったいないから…
だからもうしばらく、カイロでがまんすると決めていた。


