殴られるたび、恭一のくだらないコトばかり喋る口から血が飛ぶ。
殴られるたび、ハルカさんの高く通った鼻から血が流れる。
「っざけんなコラァ!!」
「どっちが!!」
動けなかった。
この二人、男同士のように本気で殴り合い、怒鳴り合っている。
なにコレ…
ハルカさんは女の人なのに、恭一の拳に迷いは見られない。
ハルカさんもハルカさんで、人を殴ることには慣れているような身のこなしだ。
まさか普段からこんなコトをしているんだろうか?
理解できない。
こわい。
震えることさえできずに立ち尽くしていると、ハルカさんに膝蹴りをくらった恭一がアスファルトに倒れ込んだ。
ひどく咳こみながらも立ち上がろうとする姿に、金縛りにあったようになっていたあたしの体は、ようやく反応することができた。
「や…やめて!!」
声を振り絞って叫んでも、気が高ぶっている二人を止めることはできない。
一瞬頭を白くしかけたけど、すぐに思考を切り替えて、辺りを見回した。


