口の端が変色したハルカさんの、どこか歪んだような笑みに恐怖を感じた。
ホントのコトってなに?
「まだ…何かあるの?」
恭一の手を小さく引く。
嫌な予感がした。
聞きたくない。
でも気になる。
聞くならハルカさんからじゃなくて、恭一の口から聞きたかった。
でもやっぱり恭一は、石みたいに固まったまま。
「あるよ、大アリさ。そこの腑抜けの代わりに、ぜんぶ話してあげるよ」
ハルカさんはタバコをアスファルトに落とし、ブーツの底で踏みつけた。
「どこから話そうか。長くなるけど、高校の時から話そうか?」
「……めろ、ハルカ」
「バンド立ち上げ前からにする? それとも後から? どっちにしたってキミは…」
「ハルカっ!!!!」
恭一が再びハルカさんに殴りかかる。
けど今度はちゃんと身構えていたハルカさんは、拳を受けても倒れることなく、恭一を殴り返した。
そこからは、ただの殴り合い。
二人が発する言葉に意味なんかなく、怒りをそのまま暴力でぶつけ合っていた。


