ハルカさんと恭一の間には、目には見えないけど激しく火花が散っていた。
「…そのコ、彼氏ができたらしいね」
ハルカさんがあたしを一瞬見て言った。
途端に恭一の顔が強張る。
「…マジありえない」
ハルカさんは赤い唇をきつく噛み締める。
「一発じゃぜんっぜん足りないね。もう一発殴らせてよ」
「ち…ちょっと! やめてよっ」
あたしは慌てて2人の間に立ち、恭一を背中にかばった。
「どいて」
「イヤ。なんかよくわかんないけど、殴り合いなんかサイテー。見たくない」
「どかないならアンタから殴るよ」
男みたいに低い声で言いながら、ハルカさんはこぶしを振り上げた。
グーで殴られたことなんかないけど、きっとすごい痛いんだろう。
でも絶対避けたりしない。
衝撃を覚悟して目をつむろうとした瞬間、恭一の右手がハルカさんのキレイな顔を殴りつけるのが見えた。


