「そ、そんなコトないですからっ!」
「えー。そう?」
「そうです! あ、あたしお先に失礼しますっ」
「え、ヒカルちゃん?」
じゃあね美緒!
と、ヒカルは慌てたように店を出ていった。
恭一はそれをポカンと見送る。
「俺…、なんか変なコト言った?」
「ふふ。あんたみたいなヘラ男には一生わかんないよ」
「ええっ? なになに、なんの話?」
「教えない」
マフラーをしっかり巻いて外に出る。
雪でも降るんじゃないかってくらい寒くて、もう12月になっちゃうなと考えた時、恭一の原チャに腰かける人影を見つけた。
レザーコートに黒のロングブーツの美女。
ハルカさんだった。
「げ。ハルカ?」
恭一が横でカエルみたいな声を出す。
ハルカさんは立ち上がり、ツカツカとこっちに近づいてきて…
「歯ァ食いしばりな」
低く呟き、右こぶしで恭一の顔面を殴りつけた。


