ハルカさんはぐっと眉を寄せる。
「……後ろの彼、だれ?」
「…彼氏、です」
最近三上くんを『彼氏』だと紹介することに、ようやく慣れてきた。
三上くんがあたしを『彼女』だと紹介する場面は…はたしてあるんだろうか。
ハルカさんは三上くんとあたしを交互に見て、なぜかくわえていたタバコを噛み潰し…
そしてそれをあろうことか素手で握り潰した。
「あんのバカ…っ」
ギリギリという歯がみの音が聞こえてきそう。
あたしはその美女の形相に一歩退いた。
「あったまきた! 一発殴るっ」
「…えぇっ!?」
「人のこと殴っておきながら…っ」
クソっ!
なんて汚い言葉を吐いて、ハルカさんはきびすを返し大股で去って行ってしまった。
「いまの誰?」
「え…あ、恭一のバンド仲間」
「ふうん…」
三上くんは興味がなさそうに相づちを打つ。
あたしはしばらく彼と、姿勢の良い美女の背中を見送っていた。
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