放課後。
三上くんと一緒に生徒玄関を出た途端、木枯らしに肩より長くなった髪が乱れた。
最近の風は冷たいというより痛い。
手袋を買いに行こうかなと考えていたら、三上くんが制服のポケットからカイロを出した。
「はい。一個あげる」
「いいの? ありがと」
こういう時、差し出すのが手じゃなくてカイロなのが三上くんだ。
周りにいるカップルたちは、寒さを理由にベタベタくっついているのに、あたしたちはただ並んで歩く。
「最近お兄さんはどう?」
「どうって…」
あれだけ三上くんと付き合うことに反対していたから、てっきり邪魔をしてくると思ってたんだけど…
恭一はあれ以来、学校には現れなくなった。
バイト先には迎えに来てくれているけど、ちょっと元気がない。
バンドの方に時間をさくようになったんだろうけど、少し心配だ。
「まあ、おとなしくはしてるかな…。まさか三上くんトコに行ったりしてないよね?」
「俺のトコに?」


