そこにタイミング良く、登校してきた三上くんがドアの所に立つ。
「おはよう酒井さん」
「お、おはよ三上くん」
三上くんはチラッとユウナ先輩を見て、教室に入っていった。
「もしかして、いまの?」
「ええと…はい」
「あのコ、前に噂になってたコじゃん。失恋した相手って、彼だったの?」
どうやらあたしが『3股女』と噂されていた時の話らしい。
恭一と、コータ先輩と、もう一人は誰だと思っていたら…
「失恋した相手はちがいますよ」
「そうなの? あの時かなり凹んでたみたいだからさ、もう大丈夫なのかと思って」
「まあ…完全に吹っ切れたと言うとウソになるけど。でも、好きになっちゃいけない相手だったんで」
今は、彼を好きになってる途中なんです。
そう小さく呟いたあたしに、ユウナ先輩はなぜか一瞬、表情を暗くした。
「…そっか。あんまムリすんじゃないよ」
そう言って、あたしの頭を撫でてくれた。


