三上くんはバカにしてるワケでも、怒っているワケでもなんでもなく、第三者の口調で言った。
「おかしいですよ、そこまで彼女を縛るのは。いくらお兄さんだとは言っても」
恭一は目を見開いた。
愕然、って顔だ。
「三上くんには…全部話したの」
あたしは三上くんのそばに立ち、恭一に告げた。
これであたしの本気が伝わればいいと思って。
それが三上くんの意図だったんだと、ようやく気づいた。
「いくらお兄さんだろうと、酒井さんの恋愛を否定する権利はありませんよ」
「…俺は、否定してるんじゃない」
「そうですか? まあ、お兄さんに反対されても、俺は彼女との付き合いをやめるつもりはありませんから」
どこまでも冷静な三上くんに恭一は口を閉ざして、ただ顔を険しくさせた。
あたしはそれをハラハラしながら見ていただけ。


