「このテディベア、恭一がくれたんだよね。あたしはお父さんがくれたんだって思ってた」

「…最後に会った時にな。このクマを自分だと思って大事にしてくれと、恭一くんは言っていた」

「そっか…。実はこのクマの背中に縫い目があってさ。ほらココ」


お父さんに縫い目を見せて、それから手帳を取り、あの紙を見せた。


「クマの中に、コレが入ってたの」


幼い日の、恭一のメッセージ。

お父さんも知らなかったみたいで、驚いていた。


「…恭一くんは、いまになってどうして美緒に?」

「さあ…。そういえばそうだよね。あいつはただ、あたしに思い出してほしかったって言ってたけど」


あんなに軽くてくだらないことはペラペラしゃべるくせに、恭一は自分のことになると口を重くする。

きっと理由があるんだろうから、あたしは突っ込んだコトはあまり訊いてこなかったけど。

気づけば疑問だらけだった。