恭一はイライラを全開に相手としゃべる。
って言っても、頬を思いきり膨らますとか、髪をぐしゃぐしゃにするとか…
恭一のイライラなんて、そんなものだ。
「はあ? 見つかった? …それでなんだよ。俺はいいって~」
深いため息。
見つかったって、新しいバンドのメンバーかな。
そういえば、恭一がボーカルで…?
ハルカさんは?
欠けてるメンバーの担当は?
…あたしって、実は恭一のコト、なんにも知らないんだ。
「お前らで勝手にやっていいよ。…俺がいたってしょーがないじゃん」
こんなんで、恭一を好きって言ってるあたしって、なんなんだろう。
あたしから少し離れて電話をする恭一の背中。
近いようで、すごく遠くに見える。
「もう、わあったよ。美緒ちゃん送ったら行くから。…あい、じゃな」
あたしたちの関係ははっきりしたんだ。
それならあたしも、恭一も、前に進むべきなんだよ。


