あたしがぼんやり三上くんの顔を見つめていると、相手はわざとらしく咳払いした。
「酒井さん」
「…え?」
「考えておいてね、俺と付き合うこと」
「うん。……………はっ!?」
なに?
いま三上くん、なんて言った?
聞き間違いかと彼を凝視すると、三上くんは小さなため息をついた。
「大丈夫? 酒井さんて、なんか見た目と中身が違うよね」
「そんなこと言われたコトないけど……ってゆーか、冗談?」
「…ほんと、イイ性格してるよ」
三上くんは苦笑して、お弁当とボトルを拾い上げた。
「酒井さんのこと、好きだから」
「え……」
「キミが苦しんでるなら、力になりたいと思ってね」
冷たい風に、彼の柔らかそうな黒い髪が揺れる。
冷たい印象の瞳が、柔らかな光をたたえてあたしを見る。
「ムリにとは言わないよ。このままでも別にいいんだ。ただ…酒井さんて、なんかほっとけない」
しっかりしてそうに見えるのにね。
そう笑って、三上くんは先に屋上を出ていった。


