「そうだよ。イマサラ気づいたの?」
軽く笑いながら、三上くんはブレザーを脱いで、あたしの膝にかけてくれた。
ワイシャツに薄手のセーターだけの格好は、見てるこっちが寒くなる。
「いいよ、大丈夫。三上くんのが風邪ひくじゃん」
「言ったろ。寒いとか感じないんだ」
「…ありがと」
このセリフ、コータ先輩あたりが言おうものなら、さすがと思うんだけど。
三上くんは冷めた顔で淡々と言うから、こっちも「じゃあいっか」と思ってしまう。
それが三上くんの優しさなんだろう。
「三上くんてさ…誰かを好きになったことってある?」
「…………」
あたしの問いに、三上くんはわずかに顔をしかめた。
「酒井さんも、けっこういい性格してるね」
「ははっ。さっきのお返し」
あたしが笑うと、三上くんもつられたように少し笑った。
人を好きになったことくらい、マジメで孤独好きな優等生にもあるだろう。


