「会いたそうな顔、してたから」
「え…?」
「酒井さんが、そういう顔であの人を見てたからさ」
三上くんは静かに文庫本を閉じる。
あたしはついじろじろと、三上くんの清潔感のある顔を見てしまう。
彼には他人の心を見る第三の目でも、ついてるんだろうか。
「今日は顔色がいいね」
「え。ああ、うん。昨日かなり眠れたし、ご飯も食べたし…、かなり元気」
「そう? じゃあ…なんでそんな泣きそうな顔してるんだろうね」
あくまで他人事、といった風な三上くんの声。
その声に、胸を射抜かれた。
やっぱり彼には、第三の目がついてるんだろう。
「三上くんて………ちょっと性格ワルいよね」
言いながら、なぜか涙がこぼれそうになって、慌てて上を向く。
もう恭一のことで泣いたりしないって、昨日決めたばかりだっていうのに。
涙腺をきゅっと引き締め、あたしは涙を体の中に戻した。


