ひとしきり笑った恭一は、あたしの前にあぐらをかいて、頭を下げてきた。
「ごめんね美緒ちゃん」
「なにが…?」
「ハルカのこと。あんな風に強引に、美緒ちゃんに思い出させる気なんか、俺なかったんだ」
あの写真のことだろう。
あれはハルカさんが、勝手に恭一のところから持ち出したものらしい。
「ごめんねホント。あいつのコトは、ちゃんと殴っておいたから」
「殴ってって…ハルカさんを?」
「あったりまえじゃん! ワンパンくらわしておきました!」
ワンパンて…。
冗談だろうけど、びっくりした。
あんな美女、いくらバンド仲間でも殴れるワケがない。
「なんかあいつ焦っててさ。俺の態度にイラついてるみたいで」
「何に焦ってるの」
「んー…実はウチのバンド、メジャーデビューの声がかかっててさ」
「うそ。すごいじゃん! …嬉しいんじゃないの?」
でも恭一の顔は、乗り気じゃない、といった感じ。
あんたの性格なら、飛んで喜んで自慢するんじゃないの?


