ゴクリと麺を飲み込んで、恭一は器をのぞきこむようにして固まった。
気まずい沈黙が流れかけた時、薄っぺらい扉が勢いよく開かれた。
「…冷凍庫のアイス、食っていいぞ」
よく見ると意外に若く見える店長は、抑揚のない声で言って、また勢いよく扉を閉めていった。
あたしと恭一は、顔を見合わせる。
「美緒ちゃん、相当気に入られたねぇ」
「…あれで?」
「おやっさんがわざわざ厨房から出てきたんだよ? 俺はびっくりしたね」
「ふーん…そうなんだ」
悪い気はしない。
愛想はないけど、なんか好感が持てる店長だ。
大の大人に『かわいい』、なんて失礼だけど、そう思った。
「ねぇ美緒ちゃん。俺のコト、まだ嫌いになってない?」
「な、なによいきなり。…なってないケド」
「よかった。じゃあさ、これまで通り、仲よくしてくれる?」
「それって…兄妹としてってコト?」
「いやあ、すぐにそう思えって言ってもムリだろうからさ。あんまり意識しないでいいよ。俺はただちょっとでも、美緒ちゃんに俺を好きになってほしいってゆーか…」
さらに恭一が照れて顔を赤くする。
あたしは…胸が、張り裂けるかと思った。


