「あたし、中学の時、バスケ部のマネージャーだったの」


ユウナ先輩はあたしのお弁当を綺麗に食べてくれた後、遠い目をして話し始めた。


「1コ上にいた部のエースがコータ先輩。中学でもいまみたいに目立ってた。あたしももちろん憧れててさ。…でも先輩にはすっごい美人の彼女がいて、誰も割り込めなかったの」


やっぱり中学からモテ男だったんだ。

たぶん超イケメンは、生まれた時から『超イケメン』だったんだろう。


「でも、コータ先輩が3年の時、2人が別れてさ。先輩めちゃめちゃ落ち込んでて。…そんな先輩見てたらあたし、つい言っちゃってたんだよね」


――好きです…って。


あたしはちょっとびっくりしてユウナ先輩を見た。

なんだ、もうこの人、告白してたのか。


「で、フラれた」


ユウナ先輩は笑う。


「当たり前だよね。そん時あたし、同じバスケ部に彼氏がいたんだもん」

「………え?」

「だから、彼氏いたの。告白なんてするつもりなかったのに、言っちゃってたの。…最低でしょ?」

「…最低かはわかりませんけど、コータ先輩は困りますよね」

「そう。だから嫌われちゃった。…なのにあたしはしつこく高校まで追いかけてきて、アンタに絡んだりして。ちょーかっこ悪い」