恭一のことをまるで知らない相手だからか、あたしはすんなりしゃべることができた。

ユウナ先輩は箸を止めて、「ふーん」と相槌。

さすがに失恋した相手が兄だった、とは言えなかったけど。

ちょっとだけ心が軽くなる。

なんでだろ。

言葉にすると、客観的になれるのかな。


あたしは恭一が好きだった。

でも恭一には彼女がいて、おまけに異母兄弟だった。

恭一のあたしに対する優しさはすべて、兄が妹を想う気持ちだった。


この恋は、忘れるしか道はない。


なかったことにしなければ、あたしと恭一の関係が壊れてしまう。

好きだから。

恭一が好きだから。

恋を、兄への親愛に変換するんだ。