まさか…結婚とか?
有り得ないよ、あのヘラヘラ男が結婚なんて。
「あなたも迷惑してるんでしょう? いきなり変な男に付きまとわれて」
「あたしは別に…」
「アタシもあなたもアイツをどうにかしたい。それなら協力すればいいわよね。そうでしょ?」
なんだこの人?
強引ってゆーか、人の話しをまるで聞かない。
いや、確かに昨日は迷惑がってるフリ、したんだけど…。
「昨日は、なんてゆーか、色々あってああ言いましたけど。あたしは…」
「深田恭一の正体」
再びあたしの言葉を遮り、ハルカさんは雑誌を閉じた。
「教えてあげる」
「………え?」
「休憩、これからでしょ? 店の裏で待ってるから」
あたしの返事を聞かず、ハルカさんは姿勢よく店を出ていった。
絶対にあたしがそこへ行くと、確信しているような態度。
恭一の、正体って?
あたしの中で、
迷いと、好奇心と、プライドとがせめぎ合っていた。


