放課後、一人玄関で靴を履き替えていると、前の廊下をバスケ部の集団が通っていった。
中にいた、一番のっぽの葛城先輩と目が合う。
葛城先輩はすぐ、隣りにいたコータ先輩に、あたしがいるというように指さして見せて。
うわ、どうしよう。
目をそらした方がいいかと迷っていたら、
コータ先輩から、笑った。
優しく、微笑みかけてくれた。
集団はすぐ、体育館の方へと去っていき、あたしは微笑み返すことはできなかったけど。
少しだけ、あたたかい気持ちになれた。
先輩から勇気をもらったあたしは、玄関を出て校門に向かう。
教室の窓から、門の前にいつもの金髪頭がいるのは確認済みだ。
今日は『抜け道』は使わない。
正面からぶつかってやる。
そう自分を奮い立たせ、前庭を突っ切った。
校門の前にいつものごとくしゃがんでいた男は、あたしを見つけて勢いよく立ち上がった。


