「それからずっと美緒を見てた。これはあくまできっかけだけどな。理由なんて、俺も上手く説明できないからさ」


理由なんて。

その通りかもなとあたしは思った。

かわいいとか、かっこいいとか、優しいとか、クールだとか。

『好き』の一部ではあるけれど、それは理由には届かない気がした。

あたしの恭一への気持ちも、同じだから。

そうして、コータ先輩が先に店を出ていき、あたしたちは別れた。

あたしとコータ先輩は、もうオトモダチでもなんでもなくなったのだ。