「酒井美緒が色々言われてんのは自分のせいだから、彼女とかじゃないんだけど助けてやってくれないかって、先輩が俺らに頼んできたんだ」
「その交換条件で、沢村先輩と葛城先輩が、引退したのに部活来て、指導とか手伝いやってくれてんだよ」
「バスケ部だけじゃなくて、他にも自分の仲イイ友だちとかに頼んで回ってんだってよ」
背の高い三人は、そろって天井に向かい「カッコイイ~っ!!」と叫ぶ。
ほんとだよ。
そんなのカッコよすぎるよ、コータ先輩。
抜け道を通るときに、コータ先輩の姿はたしかにいつも、体育館の中にあった。
でも、そんな理由があったなんて、ちっとも想像しなかった。
あたし、フッたのに。
コータ先輩に対して、あんなに冷たくふるまってたのに。
うっとうしいくらいに、思ったりもしたのに…
「おわっ! 酒井!?」
「どうしたいきなり!」
気づけばあたしは涙を流していた。
最近涙腺がゆるみっぱなしな気がするけど、なぜか止められない。
男子たちは「酒井泣かしたら、沢村先輩に怒られる!」って、本気であたふたしていた。
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