「考え直した方がいいぞ」
「つーか、この話気いたら酒井の方がホレちゃうかもよ」
「何それ…どういうこと?」
理解できなくて眉を寄せる。
彼らはそんなあたしを見てまたため息をついた。
「先輩命令だからな」
「………は?」
「だから、先輩命令なんだって」
「そりゃやらないワケにはいかないじゃん?」
「そんなワケで、俺らはエセヒーローになってみたワケなんだよね」
ちょっと説明が足りないけど、
それってもしかして…
「コータ先輩なの…?」
三人はあたしの気持ちなんか知る由もなく、
「あたりまえじゃん」
「他に誰がいるんだよ」
「あ、もしかして酒井、俺らみんなバスケ部だって知らないんじゃね?」
知らないよバカ。
言葉にならない複雑な気持ちがこみ上げてきて、あたしはキュッと唇を噛んだ。


