見たことのない女子が四人立っていた。
校章のラインが緑だから、全員二年生だ。
冷たく、しかし怒りを燃やしたような八つの目が、真っ直ぐにあたしをとらえている。
ああ、やな予感…
「アンタが酒井美緒でしょ」
真ん中に立ってた女が一歩前に出てくる。
リーダー的ポジションなんだろう。キツめの美人だ。
長い髪に切れ長の瞳。
日本人形みたいな雰囲気。
「そうですけど、何か?」
「アンタのあの噂、ホントなわけ?」
「…噂って何ですか」
「とぼけんな。コータ先輩との噂だよ。二股かけてんだろ?」
後ろの女子が口をはさむ。
下品な言葉遣いにドスのきいた声は、威圧的だけどセリフを陳腐にさせる気がする。
「かけてません」
なーんて言ったとしても、信じるわけないんだよ。
ってゆーか二股って。
付き合ってもないのに二股って。
「へぇ。だったらあの、金髪の男はなんなんだよ」
「あれは……」
あー…もうサイアク。
なんで思い出させるの?


