突っ伏したまま、顔を窓に少しだけ向ける。
校門から出ていく生徒を、チェックしてるバカはまだいた。
あそこに行きたい。
アイツに会えばきっと、こんな沈んだ気持ちなんかふっ飛ぶだろう。
「なになに美緒ちゃ~ん、元気ないゾ? しょうがない。お兄さんがとっておきのネタを披露してあげるから、ハッピーな気分になりなさい!」
とかなんとか、あのヘラヘラ顔で言ってあたしを笑わせてくれるだろう。
なんて、バカなあたし。
泣きそうだ…
そう思った時、教室の入り口で物音がした。
「…酒井さん?」
誰かが教室に入ってきた。
あたしは窓の外を見たまま返事をしない。
入ってきたのが三上くんだってわかったから。
じゃあいいやって、
見られてもいいやって思ったから。
「……こんな時間まで残ってるなんて、珍しいね」
ほらね、やっぱり。
三上くんはあたしが泣いてるのを見ても、いつもと変わらない。


