悔しさみたいな気持ちが、体の中心で爆発した。


「知らないよそんなの! あたしは別に思い出したくもないっ」


夜の道に、あたしの悲鳴みたいな声が大きく響いた。

店に入っていく客が、みんなちらちらこっちを見ていく。

恭一はひどく、傷ついた顔をしていた。

あたし…ばかみたいだ。


「…うざいんだよ。今日でもう終わりにして。アンタのこと、忘れたいの」


そう告げて、あたしは逃げ出した。


「美緒ちゃんっ!」


恭一は追いかけてきたけど、あたしは止まらずにそのまま広い通りまで出た。

ちょうど通りかかったタクシーを拾って飛び乗った。


「はやく出してください!」


行き先を告げるより前に、そう叫んでいた。

タクシーが走り出しても、あたしは一度もふり返らず、バックミラーにも目を向けられなかった。






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