その日は急にやってきた。


秋の空から冬へと移り変わる季節。


そんな日の夕方。


私はある人に呼び出されていた。



「急に呼び出して悪いな、水嶋」



そう私に言うのは、最近めっきり大人しくなっていた部長で。


この日、部活終わりに部長に話しがあると呼ばれたのだった。



実を言うと、秋月くんに協力してもらうようになってからは、ほぼほぼ話しかけてくることはなくなっていて、安心していた。


ようやく、落ち着いたんだと。


だけど、実際に呼び出され目の前にすると身構えてしまうのも事実。


部長から少し距離を置いて立つ。



「…あの、それで何ですか…?」



部活が終わった後の道場には私にと部長の二人のみ。


他の部員たちはさっさと帰って。


京子は今日用事があると言っていたから、もうすでに帰ったのだろう。



つまり、助けを求めることのできる相手も居ない状況。


その状況下での二人っきりに不安がないと言ったら嘘になる。


だけど、いつまでも避けていられる訳でもない。


しかし、目の前に立つ部長の様子が違う。