【細川愁side】
No.1と言われなくなったのはいつからだろう。
俺は"直人"に負けた。
負けるわけがないと心のどこかで思っていたのに。
「カリンさん…ですね?」
「ええ」
知らない人はいないといわれるほど有名なカリン。
会ったのは初めて。
もちろん指名は直人だったけど、今は手が空いていないため俺がカリンの相手になる。
「何か飲まれますか?」
「おすすめのカクテルが飲みたいわ」
「…とっておきのカクテルを持ってこさせます」
「とっておき。言ってくれるわね」
俺はパンパンと手を叩き、合図を送った。
「カリンさんの口に合えば嬉しいですね」
にこりと笑う仮面のマスクにカリンは反応を示さない。
…カリンの口は肥えている。
きっと、ひどく。
スナック清香は有名人でさえもやってくる場所だ。
そんなところで美味しくない酒を出すわけがない。
しかし、俺だって今までこの街一番のホストだった。
口だって肥えている。
No.1と言われなくなったのはいつからだろう。
俺は"直人"に負けた。
負けるわけがないと心のどこかで思っていたのに。
「カリンさん…ですね?」
「ええ」
知らない人はいないといわれるほど有名なカリン。
会ったのは初めて。
もちろん指名は直人だったけど、今は手が空いていないため俺がカリンの相手になる。
「何か飲まれますか?」
「おすすめのカクテルが飲みたいわ」
「…とっておきのカクテルを持ってこさせます」
「とっておき。言ってくれるわね」
俺はパンパンと手を叩き、合図を送った。
「カリンさんの口に合えば嬉しいですね」
にこりと笑う仮面のマスクにカリンは反応を示さない。
…カリンの口は肥えている。
きっと、ひどく。
スナック清香は有名人でさえもやってくる場所だ。
そんなところで美味しくない酒を出すわけがない。
しかし、俺だって今までこの街一番のホストだった。
口だって肥えている。