風の詩ーー君に届け

「ったく、何ふらついてるんだ!?」




「……どうして……」




「たまたま乗り合わせた。
ヴァイオリンケース背負った奴がいるな~と思ってたら、倒れてきた」



――ウソだろ!? 理久の大学、路線が違う。
安坂さんに乗せてもらった日、もぬけの殻だった話を安坂さんから聞きでもしたんだろう。
今日の練習を調べて知っていたに違いない




詩月は思ったが、口には出さなかった。



「お前、熱あるだろ?」



「……微熱」



「チッ、医者の卵を舐めるなよ」



「……朝、37.5℃あった」



詩月は正直に答える。



「で、何で乗り換えた?」



「スマホにメールがあって下車して場所確認した……でもガセだった」



理久の顔がにわかに険しくなる。



「またか」



詩月はコクリ、頷く。