風の詩ーー君に届け

案の定、

「いや、今日はNフィルさんは入っていないよ」

との返事に丁重に礼をし、詩月はスマホを閉じる。




「あの野郎」


思わず、漏らす。




――沈黙は金などと、いつまでも思っているな




安坂の言葉が思い浮かんだ。




回を重ねるごと、日を重ねるごと、調子づいてでもいるのか――。


連絡の来る時間が遅くなっている。



電車を乗り換えて、間に合うかどうか際どい時間を計算しているのが、明らさまにわかる。




これまでは何とか凌いできた……いつまで続くんだ!?



不安が過る。




連日の天候不良の上に、GW明けから気温が上がり、普段にも増し、体調が思わしくない。




詩月は電車を待つ僅かな間、ベンチに座り背を預ける。



気を抜くと、目眩がしてきそうだと思う。