風の詩ーー君に届け

詩月は、もしあの時に時間を戻せるなら、もし過去の自分に声を掛けることができるなら、


「バカやろう!!」と、一喝してやりたい気持ちだ。




学生で混み始めた車内は、熱気で蒸し暑い。




目深に被ったキャップが鬱陶しいが、電車の中吊りには、化粧品会社の夏バージョンポスターが既にセットされている。




詩月はチッと、小さく舌打ちをし、度の入っていない(レンズも入っていない)眼鏡を上げる。



目立たないようにと、地味で暗い学生を装う。




なのに、上着の内側でスマホが、バイブする。




一瞥を浴び素早く画面を開くと、

「場所が変更になった」

という内容が書かれている。





詩月は、クソッまたかと思いつつ、承知しましたと返信する。



もしも、出向いてガセなら場所が遠すぎる。


折り返し駆けつけても間に合わないと判断する。





次の駅で下車し、メールにあった場所へ確認の電話をかける。