風の詩ーー君に届け

この戦旅には、中大兄皇子(なかのおおえのみこ)、後の天智天皇も同行していた。




詩月は、宮中での噂や憶測にも屈せずに毅然とし、2人の英雄の間で、自己を見失わず誇り高く生きた額田姫王の生涯は凛としていて美しいと思う。



熟田津に……の歌は、女性でありながら気丈にも戦場へ思いを馳せ、船旅の安否と戦の勝利を願い祈りながら、軍の士気を高めようとする気概さえも感じさせる歌だと思う。



まさに戦女神として、この歌を詠むためにこそ、生まれてきた女性だとさえ思う。



女性の逞しさ強さの例えとしては、次元が違うなと思いながら、郁子の顔を思い浮かべた。




緒方には、けっこうキツイことを何度も言われた。




詩月は当時の場面を振り返る。