風の詩ーー君に届け

照明が落とされたまま、幕が上がると同時に、舞台スクリーンには太陽系惑星の画像が映し出される。



客席を放射線状の光がランダムに照らす。



フットライトが灯ると、金管楽器の音色とヴァイオリンが曲を奏で始める。



満天の星空を模した会場を四重奏「Jupiter」の調べが包み込む。


重厚な低音のホルンの響きにトランペットの軽快な音色が重なる。


チューバがホルンとトランペットの均衡を保ち、調和させる。

ヴァイオリンの音色が優しく切なく響く……。



ホルンを吹く昴を詩月は、ちらと見て、深呼吸しヴァイオリンを構え直す。



詩月が演奏を再開すると、ざわめきが起こった。



「何……これ」


「Jupiter……!?」