風の詩ーー君に届け

開演前。
新マネージャーと交わした、左手の握手の意味も。



何もかも知っていて笑顔で……彼らの方が誰よりずっと大人だ。



なのに、彼らの力になりたいなんて奢りもいいところだ。


守られていたのは僕の方だった……。

……気付きもしなかったなんて。



悔しさより先に立つのは、済まないという気持ち、そして感謝の気持ち。



詩月は舞台狭しと歌い踊り、笑顔で動き回るXceon(エクシオン)3人の姿が眩しかった。




輝いている。
ねぇ、マネージャー。
彼らは誰より輝いてる。


そう叫びたい気持ちだった。



ラストの歌「君と輝きたいから」を歌い終え、舞台袖に引いたXceon(エクシオン)3人の顔は今まで詩月が見た、どんな時より歓喜していた。



照明が落とされ幕の下りた、真っ暗な舞台に向かって、観客席からアンコールの声が聞こえてくる。