風の詩ーー君に届け

辛そうな息遣いの下で、詩月がリーダー昴の耳元に呟く。



こんなに、立っているのさえやっとの状態で弾けるんだろうか。


体に負担はかからないんだろうか。


Xceon(エクシオン)のメンバーは心配でたまらない。



「……『Jupiter』は壊さないから。……自由に弾かせてもらえないだろうか……届けたい思いがあるんだ」



詩月はやっと聞き取れるほどの声で言う。


何かを考えて、しっかり計算して言っているに違いないとXceon(エクシオン)の3人は疑わない。



「わかった」


リーダー昴は応えて抱擁を解き、詩月の肩をしっかりと支え舞台袖へと導き、スタッフに委ねた。



ラストに歌われたのは、詩月が、原曲を大巾にアレンジした軽快な「Jupiter」に歌詞をつけた、――「君と輝きたいから」