風の詩ーー君に届け

「Jupiter」の演奏は終盤。


演奏が始まった直後の声援や歓声、賑やかだった観客が、曲が進むにつれ静かになり、前盤途中からは水を打ったように、静かに演奏を聴いている。



満天の星空を模した会場と煌めくような四重奏。


非常口付近、腕組みをし舞台を睨んでいたマネージャーは、腕組みを解き舞台を見つめている。



郁子は、素人同然の金管楽器との演奏を支え、その不均律さや拙さを感じさせない、詩月のヴァイオリンの技量に驚いている。



込みあげてくる感動に、溢れてくる涙を幾度も拭い、ヴァイオリンを弾く詩月を見つめている。



「満天の星空の下で聴きたい曲があるの。

ホルスト作曲の『Jupiter』」



郁子はヴァイオリンを奏でる詩月の思いが、伝わってくるような気がして、胸が熱くなった。