風の詩ーー君に届け

――緒方。

君の涙が忘れられない。


流れる涙の雫。

落ちる涙の数よりも、君の心に溢れる悲しみを僕は……この手で、癒すことができるだろうか。


君の涙を拭う手は、僕のこの手でいいんだろうか。



生まれつき壊れている僕の心臓。

急な雨に降られても、君の手を取り走ることもできない。

君と肩を並べ、君の歩調に合わせ歩くことさえできない。



君をコンサートに誘っても僕は……君や総立ちの観客に合わせ、楽しむこともできない。



この手にあるのは音楽だけで、他には何もない。



―わたしのピアノでは、あなたに届かない。追い付けない。



届かないのは僕の手で、追い付けないのは僕の方だ。


――緒方。

七夕に思いを込め、短冊に願いを書き、君と歩む希望や未来を望んでもいいんだろうか。