風の詩ーー君に届け

客席、非常口付近。
詩月は腕組みをし、舞台を睨んでいる男性の姿に気付く。


新マネージャー。

旧マネージャーの欠片も包容力があるとは思えない、初対面の印象と対応。



――聴き手がいるかぎり、手は抜かない。

手加減など初めからするつもりはありませんし、素人もアイドルも関係ないと思います――



彼を相手に啖呵をきった詩月。


ニコリともせず、舞台上のXceon(エクシオン)を見つめている。



詩月は数日前までのNフィルのヴァイオリニスト、妹尾を見ているような気がする。



全身全霊を込めて、思いを伝える。



――音楽は心。



満天の星空の下で弾きたい曲がある。



七夕に弾きたい曲がある。


聴かせたい人がいる。