風の詩ーー君に届け

会場全体がプラネタリウムと化す。



――七夕に満天の星空の下で聴きたい曲があるの。

ホルストの「Jupiter」



郁子の言葉が詩月の頭の中で木霊のように響く。



メンバーと、事前に謀ごとや打合せをしたわけではないのに、この偶然。



詩月は客席の緒方を見つめる。



「eins,zwei,drei」



詩月の細い掠れ気味の声が、静かに響く。



厳かに曲が始まる。

主旋律を演奏するのはリーダー昴のホルン。

低音の重厚な響きに詩月のヴァイオリンの音色が重なる。

繊細で哀愁漂う調べがホルンを引き立てる。


漆黒に浮かび上がる無数の星。

夜の静寂(しじま)に浮かび上がるJupiter――木星。



太陽系で太陽の次に大きな木星。