風の詩ーー君に届け

様々な思いが去来する。


詩月は深呼吸し気持ちを落ち着かせ、座席へ戻る。



「大丈夫?」


「ああ………騒がしいのは苦手で」



「ちょっと失礼よ」


詩月が、つい漏らした言葉に後部座席から、お叱りが降る。


詩月は「すみません」と言いながら、スッとキャプの鍔を上げる。



「えっ!?」


詩月を叱った女性が声を上げた時、舞台からXCEON(エクシオン)のリーダー昴の呼び掛ける声が聞こえた。



「詩月さん、準備はいい?」


詩月はCM版「Jupiter」の触りを弾き、OKの合図をする。



「周……桜くん!?」



郁子がヴァイオリンを弾く詩月を唖然と、見上げている。



ざわめきと歓声に、詩月は戸惑う。


ヴァイオリンの音が掻き消されるほどのざわめき。


詩月はキャプを脱ぎ、舞台へ向かう。