風の詩ーー君に届け

「リチャード三世……」




「そう。それと『風と共に去りぬ』のラストシーンの台詞が重なって……。

防人の歌の奥底に、防人の詠んだ思いを感じたんだ」



緒方は小首を傾げて、ふふっと微笑んだ。



おそらく緒方は、意味なんてわかってないだろうなと思う。



高校2年の秋、「希望は希望から生まれる」って言葉を緒方から聞かなければ、今の自分はないんだよなと思った。



「人が絶望から甦生するきっかけって……きっと、大きな発見ではなくて、些細な日常の小さなことの積み重ねなんでしょうね。

気付くか気付かないか、微妙な出来事や出会いとか言葉とか」



緒方は、そう言って僕の隣で柔らかく微笑んだ。



胸が早鐘を打つ。